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 物事の隙間を、一瞬で抜け去った。それは、見たくないからではなく、どの速度で行っても分かるからであった。出来るだけ速く、と急かされる訳でもなく、見慣れぬ場所で、彼は言葉を咥えていた。数えてこれを、ポトリと落とす。ほんのりひとつ、驚きのなさだけが私に残った。

「こんなに結構なことだから・・・」

初めから読んで、初めから言った。なに、げに、一度でも分かる事柄よく述べて、明らかになることでもまた、ひどく静かに、

「なる」

なる、そう、なるほど、疑いが、出なければいけませんよというその声で、はなから疑いを容れない気がしたが、ここで止まったり、疑問だけでも出ることが、形の上だけでも大事なら、黙っていれば何構うことなく進むこの運動と、付き合い方だけ決まるそう、なの、

「かしら?」

さあねえ、あたしゃ先を急ぐよ。