<695>「進む」

 考えられないほど、それはそれは近くでものを見ているという頭があるか。ただ時間が経ってくれることだけ、大事ということもある。まあなんと、その、空気感だけがあること。異形であるか、ないか、それすら分からぬ。お互いがお互いに決定的なひとことを見出せず(それは当然)、あちらこちらの方向を向かせたまま、ううとこぼし、そらと笑い、この頃、と言い出すものを避ける。

 あくまで無照明、不透明で、明るく、かくばる、いくつもの緩さで、既に出会い、どんな純粋さをも信じない純粋さを持つ。

  ただ、完成したと言って、にこやかにしているのではいやだから・・・。

 ややズレて、お前自身の空気、一体とゆってよいものかどうかを、ただ流れるあれこれ、の風だけから感じ取る。何に対して諦めているのかといや、どうあろうとも進んでしまう、ということに対して、だけ、か・・・。

 いくらかのひきつった表情を連れて、転がり出ゆく。あのまま輝きとひきかえに、いつまでも伸びてゆく運動を買ったのだとしたら、私の笑顔にたくらみはない。はなやぎ、湧き上がり重なる特別な夢に、またひとつだけ語らいを添える。