<703>「粘る回転」

 方向はそれで合っていても、突然過ぎて驚くこともあるのかもしれない。ひとつ足りなかったのでなくて、充分な上での荒れ方だったのかもしれない。疲れている人がポツンとそこにいたとする、しかし、この疲れは動き回る事で解消されるものかもしれないから厄介だ。何かいたずら心なのかと、こうべを垂れて考えているものと、荒れ狂っているものとは一(いつ)なので、余計に走り回りたくなっている。妙な不具合だ。何を、と力を込めるのでなし、それが当たり前であるかのように、ス、ススと通ってゆくから、あるいは私が見捨てたのであり、私は見捨てたのであり、全てがなくなったあとでもひとりまた、まだ諦めていないのも事実なのだ。

 仕方なかったとも言わず、誰がこんなことしてくれたのだとも言わず、

「う~ん、何だ? さあ、う~ん」

と粘って、粘って、粘ってゆく。何の為なのかがエンジンなのだと言われても、ピンと来ず、いりいりいりいり回転してゆくと、いつ始まったのかも分からないし、いつ終わるのかも分からなくなる。

  いや、私は、始まりとか終わりとかの話をしたくないのかもしれない・・・