<712>「満ちる貌」

 変わりばな、で眺めた。直前まで声のしていた、おかしな掛け合いが始まる。平生のもの、捨てた、破られて、天井がどこかと聞かされる、くらくらした、小刻みでは頼りない・・・。

 きっと、大まかな話、異なりに似て、流れ、言葉の端に、かたまりだけぶつけられ、いや待て、ども、いやに待って、いても、譲り合いに蓋をしていくだけ・・・。

 あの子は顔に似だした。全体として、いや、部分々々その要素が、全て顔にあらわれだしたので、この上もう表情などいらなかった。

「表情を取れ」

そうしばらく大きな声で言った。誰彼にきこえるように大きな声で言った。届く範囲にいるのならばまた、全てを聞いている必要があった。

 真剣さ、縁遠く、なればなるほど、真剣そのものの、かたち、まだ、私自ら食べるものがあって、特別の用意と、ほぼ無関係に、旺盛、旺盛であればこそ、目の前に長く、それは長く穴が開いている。不可能ごと見ている。突然放り出されて何の驚きもなく、ただ立て続けに覗く、そして食べる。たてよこ一斉に、私の仲間で終わる。気がついたときに、気がついたときの、たらふくさを見る。