<758>「声の転倒する先」

 なにげなさ、と私でふたり。まるで関係がない。片付けられると、すぐに、充分な雰囲気のなかでまるまっている。後には誰が続くのか。応える人は、どこか遠くを見ていて、通常の声とて、転がって、どこへ。

 あらかじめ集めておいたはずのものとの語り。お望みなら表情ごと浮かれて出すひとり。不明、の間を気持ちよく動いていた。誰にとっても懐かしい。ならば、戻るのはいつになるか。いや、ほとんど戻っていて、流れだけが見える。

 偶然を、頼るまでもなくデタラメの、その一歩に複雑な重さをのせているとき、考えのつかない言葉から言葉へ、いたずらに振動が渡る。多く発されるとして、それはそれで良かった。だって、いつもの器のなかだから。