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 巨大な瓦礫は、かつての熱の海の、その声を、わたしの穴という穴へとそそぐ。

 「ひとつ屋根の下に八万人!」

 臓腑が、湯気を求めて飛び散ってゆく。

 引き裂かれた悲しみのあの夜に 絶叫の忘れ難い、あの夜に スタジヤムは己れの息の猥褻さを知る。

 「ひとつ屋根の下に八万人!」

 なだらかな、坂、や、湾曲する興奮のなかに、ひとりで立っていたのは・・・。

 向こうから、うわぁぁぁ。という、歓声が吹いてくる。ひとりの疑問点としての、スタジヤムの在り方。

 あの夜、夢のことを想起すると、私はいつまでも、足で(そう、ただの足で)いたくなり、ジタバタとし、駆け出していたのだ。

 無音風景のなかに、呼吸が揺らぐということ。そのどうしようもない時間の長さ。呼吸となり舞っているという、そのことの、尊い白さ。

 そのとき、吐き出されてきた、ひとりの時間たるわれ。あたしを全て、熱狂の一言で説明してしまおうとするその姿。

 その姿形から、私の、限りない声の連絡が始まる。

 「たれかの、気(キ)ィ振れ・・・。かたまった先・・・」

 やがて、なにの棲んだか分からぬ、あるいは人並み以上の表情の変化の果てに・・・振るわれたい・・・。