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 遠くで、知らんと、さらに、私は移ろぎの夜(よ)の子どもになる。

 「なぜ、こんなところに、香りの言葉を置いている」

 通り過ぎ、私は振るい、そばに、とほうもない音(おと)がひらくのを聴く。

 ひとおもいの呼吸の行方を聴くわれら・・・。それは、小さな窓の哀しみ。

 あなや、しかしなお、こなれた窓に、太陽を掛けると、私は片手で呼吸する。私の行方をひとつの香りとして考えるために。

 ふれない手で、言葉にかかる、したがって一丁目の景色、遠のき流れる音(おと)、静かな思い。

 僅かなひとひらの手合いに(それは、鏡?)、映るもの、こと、行く末のかわいらしい振舞い。

 巡り、延長してゆく、ひとの言(こと)の手(て)、それが見るもの、あるいは、吹かれた先に映る空(そら)の、産み、混ぜた物物(ものもの)。

 奥の方で、真空‐時(ジ)‐出合い、の、笑みが、私が笑みと理解するところのものが、踊っている。あァ、私は尋常の景色に心ゆくまで惹かれている・・・。

 物(モノ)を見、遠くへ立つわれらの、ひとつぶ性は歌に変えましょうよと、懐かしく発(はっ)ス、こと、それが誰よりも綺麗な、静かなうたいの始まりだった・・・。

 私の目にオレンジ色の茶目っ気が戻る・・・。