<940>「膜の内から」

 駆けた。

 おとははずれる。おとはブレる。

 全部、になるまで承知しない。と(トトト・・・)。

 わたしはあちこちに散らばる。散らばる。散らばり、自在に動いていた。

 ありたけの声の染みゆ、ありたけの声の染みゆ、夜空は、わたしを細胞膜にする。

 ひとの移ろい、ひとのゆ、揺れる・・・。

 裸足のあらわれる・・・、雨もよいのなか、ひとすじ、ひとすじずつの平らな白さ、が、のびる、草の香(カ)を分けて進む、す、棲む、進む・・・。

 きれはしに、生命を乗せ、躍動さすもの、それは起こり、起こり、起こり・・・、さと吹く風に紛れ、安らいだ。

 私(わたくし)の出合う・・・、そんじょそこいらの、うたかたの隙間に、あなたの手のかく、カク、欠、書く、掻・・・カ・・・か。

 まなびはフェルトに、まなびは薄着のかろやかさ、まなびはわたしの頭を鷲掴む、全ては纏う。

 み・・・、ゆきすぎ、ひとりきりの部屋に、ただただ異なりながら座り、見、ひとの背のなかに明らかな文字、をゥ、よゥ、み・・・、ふるうらしい。

 数は過ぎた。わたしが数である時間はなにごともなく過ぎていった。

 旺盛さん、こちらへどうぞ。わたしは扉ではありません。

 旺盛さん、わたしはあなたの細胞膜になります・・・!