<1281>「手にひとつの鈍さを」

 鈍く鈍く鈍く、、

 また、夜明きに回転を、少し始め、

 なんていう速度、

 まだ明けきらないうちへひとりが、色付く、

 どうしたって、、

 まだ見えているという意識もないまま、

 どうしたって、

 わがのまえにひらいている粒や、粒、

 それから、、

 

 ちょっと舐めてみよう、

 それで粒はひっくり返るわけではないけれども、

 だんだんに馴染んでくる(だんだんに馴染んでくる)、

 だんだんに、馴染んでくる、

 それと、

 手のひらのなかに 空気を添えてみよう、、

 そこからなにか隆起する、、

 時間であるのかもしれないし、、ただに軽い嘆息かもしれない、

 そこえ、、鈍く光る時日がだんだんに馴染んでくると、、

 また一瞬カンノマで、

 また一瞬カンノマでそれと寸分違わぬ身振りをウ、ウ、エ、、ト思われるのだ、

 

 それと違わぬ時節、

 であるからそこえ何のモーションもなしにすべりこんでゆくという現象が、

 たびたびこういうことが現れています、

 しかし内側というのはあちらこちらを見ているものだと思い知らされるなあ、

 そうだよね、

 

 あんまりひろがってしまって、、

 べらぼうに高い塔の、、

 横やら、なにやら、

 まったく晴れていて、 風も、 しっかりと手に鈍さを握りしめたまま、

 一心にやわらかく吹いている、

 そんなことです、

 私は天井を仰ぐようにしてその、鈍さ、とは言えないもの、ただの青色の、あきない空を見ていました、

 

 身振りがもうしっかり彫られていてどこそこから身体に微風が鳴るときそれはもうはっきりと現れるのでしょうか、

 わっかんねえ、

 そんなことわかんねべさ、

 だども身体はひゅうひゅう鳴るヨ、

 骨だ、骨組だ、

 風だってきっと骨に直接あたりたいのではないかしら?

 しらんし、

 だんだんそれだって馴染んでくる、、

 穏やかな映像になってくる、

 まぎれこんだものがひとつ文字を持っているだけで、、

 あるときとびはねるように盛り上がる、

 それは、、

 小さな跡をさわやかに天井へひらいているようだ、

<1280>「青い日のなかに彫れて」

 なかえ、、

 それから、、いつまでも、巡回の、

 そこから、重なって、生まれている、、

 僅かに 沸いていると、

 見る、

 視線、、 月日に新しい色付けを、なんなく施され、

 見る、その時日の最初の方、

 それは、呼吸に、 はいってくる、

 僅か、隙間、、順番もなく、月日と、わたし、長い時間、目覚める、僅かと、ひとつの、ひとつの吸気に、

 月日が、そっと、 淡い色ペンの、

 色付けの仕方、、

 

 最初の方へ否応なく垂れかかりそこで感じるのは驚きではなかった、

 あくまで、おんなじ人にはいっていくという少し戸惑う形だった、

 しばらく歩行する、

 まったく充分に、その持っている液が、散らされて、落ち、落ちて、上手く染みてしまうまで、

 しばらく歩行するの、

 私は充分に彫られていく、彫る動きをするので、

 からだが、、

 まったく青い空間のなかえ滑り出していっているのを、

 よくは考えないで、

 そのまま、歩、歩、歩のあと、また青い空間、、

 ひとつひとつが、まったく彫られている、

 

 それは、もしくは溝は、生きている、、

 流れが辿った跡というのは生きている、、

 止まってしまわないと生き生きとはせ、ださないかのように、

 もうまったく青い日の一員だ、、

 一員だとて、何か特別のことがある訳でもない、

 それはただ香りにも満たないようなただ色ペンで施されただけの淡い印象のことで、、

 しかしその色で、彫っている、、

 彫られたから、そのまま定着したとはせ、ないだろうか、

 私はちょっとそう思う癖がある、、

 あんまり僅かなものがこれだけの線を持っていて、 彫られた跡の深いこと、、

 

 その時日の濃度に、平気で、 黙って入っていった、

 私の部分にもその時間を保持している形があるから、

 きっと平気なんだろうと思う、

 その、跡を、

 身体を動かすことによってか、

 途中で意識を放り出してしまうかによって、

 上手く呼ぼうとする、、

 呼ぼうとする意識がどこまであるのかが分からないけれども、

 それは、流れているものに、

 たった今日、その一日の、時日の、色を施して、、

 より、確かな溝へ、

 ともどもで染みていく、、

 繰り返される挨拶に、

 ひらかれて、、

 また、目から、頬から、、なんのきなしに入っていく、、

<1279>「名前になるまで」

 今、声をかけて、

 しばらく名前がなく、、

 透明に、ぼおとしていたのだけれど、

 それは徐々に自分の名前のようでいて、、

 だんだん明らかになってくるような、声、、

 それがかたまって、、

 私は応答するように見えた、

 徐々に応答を獲得するようにも思えるけれど、、

 それはどう鳴っただろう、、

 耳にしたこと、、

 依然としてびりびりとしびれた時間のままであること、、

 それでも、私は少しずつ動いていた、、

 声が、全部を辿り、、

 こちらのほうへひたと貼りつくこと、、

 

 それは剥がれないようだけれど、

 嘆くようでもあるけれど、、

 名前、、その、全体と、

 身体を呼ぶこと、

 私は裂けてしまう、、

 これだけ、さりげなく、しかし、一心に呼ばれたら裂けてしまう、、

 名前があり、

 呼んでいる、、

 

 いつか、 間際に身体が流れて、、

 かすんだ、 白い細い線を持つとき、、

 呼んだこと、、呼ばれていることが、一心に混ざって、

 空気のなかに、順番に音を立てて、紛れるなら、、

 それを遠くまで見ている、

 道行きの序でに、

 今、 行き交う人たちが持っている色と 大体おんなじになって、、

 それを、 見ているだろうと思う、、

 

 第一、曲がる方向をぐっと持ち合わせたような、、

 響きが、

 一斉に向いて、、

 私のところえ収まったまま、しばらくなんにも言わないように見える、、

 はりついたものの話法をこのまま、

 このままここに畳み、

 名前の先端部が震える、

 一体なのか、、

 身体から離れてひとつの景色、震えながら線を引き、

 名前の在り方、

 そばで見ていた、

 

 やがて、 ひとつで、、

 そのまま答えていること、、

 折り畳まれ、

 徐々にあつくなってくる、、

 身体が、 名前を探す時間、、

 に、 ひとつ、

 気持ちのよい風と、、

 あとからあとから どんと吹いてくる時日の、、

 そのまんなかに立って、、

 だいたい、 名前になるまで、

 じっと、音を聞いていて、、

 日は深くなってきた

<1278>「からのなかは冷たい」

 何が、 奥かな、

 秘していても、秘していても、、

 何も、奥でない、、

 奥にはただ冷たい空気が流れている。

 カラだ、

 何が、そこはカラだ、

 冷たい空気が鳴っている、、

 そのなかに手を入れて探る、

 そのなかに手を入れて冷たい、

 掴むものはなにか(呼吸か)、

 分からない、

 手はただ動きをする、

 カラだ、カラのなかにいる、踊る、

 淡い、 淡くなる、、

 不明の線、次々に描出さ、さ、れ、

 ほん、 はしる、 さんず、そう、

 不明の線、、

 ただ空洞に引き続く、鳴る、鳴る、にじんでくる、

 音は音と、そうしてぼうっとなってくる、

 迫る、 さわぐ、

 からだのうしろ、、

 時日が線を成している、、

 それが走る、

 順番に、順番にゆく、

 さ、走る、

 境へ、境のなかを空洞、空洞を見る、、

 どんな手、、手があらわれる、

 

 歓待、歓待、歓待! 黙していて、

 なにか湿っている、

 ひんやりとしてく、

 それは、そう、、あんまり声が出ない、

 こちらだって、黙していて、、

 あんまり、あっけなく、それはアいて、、

 もう全部が見えていて、

 流れて、

 肢体、

 私、は、は、 置かれている、、

 なんという、、置かれている、、カラだ、

 カラだからなにか響いていくように、

 それは、、しっかり、また、視線、

 置く、置かれる、

 それは本当であることでも、本当でないことでもなく、それは置かれて、、

 カラだから黙して、、

 垂れていく、、

 時日にそのまま、、接触の衝撃があっても、すぐにほうけて、忘れたまま、、

 これは、奥でもない、ナカでもない、

 流れている、

 常に目は、少し、遅れようとして、遅れている、、

 一番後ろの方で、また、鳴っている、 鳴る、

 それが、明かして、、

 からだのカラを明かして、剥がれて、、

 全リズムで紛れていくこと、、

 それを、見てる、

<1277>「は、回転だ」

 目の玉が起きさせられている、、

 滑走、 滑走、 惑う、

 見えている時間のひとつの色、

 まずひとつの印象、

 私が起きさせられている月日とは何か、

 月日とはなんであるか、

 

 印象が、全て、起きさせられた時間に圧縮され、

 それは、奇妙な挨拶を持つ、

 回転する月日とともに私も音を緩やかに立て始めること、

 その、不気味なまでの静けさが圧縮されて迫ってくる、、

 突っ立ち、伏し、

 騒ぎのなかに目の玉だけを黙って据えていた、

 明らかに晴れていた、

 

 明らかに晴れていること、、

 のびた、たいらの、、 また、エネルギーが、

 やわらかくのびた、

 エネルギーが、

 からだに当たって、、

 回転ものびやか、

 この時日に私の成分が徐々に溶け出していく、

 あるいは投げかけの途方のなさの前で巧みに踊っている、

 見えているもの、、

 私は遠い投げかけがなければあなたのことを見ることも出来なかった、、

 そうして身体は盛り上がっていた、

 回転が生命なのか、

 生命の核なのか、

 それは、眠っていて、離れるものではなかったが、

 その、なんのきないうんうん唸り続ける音、

 ききすぎてもはやきこえなく、静かなものを、、

 まず目の玉だけが摂取し、

 は、私、回転だ、

 そう言った、、

 そう言った声は毎度繰り返された、、

 

 巧みな、巧みな、それは踊りで、

 途方もなくて、

 たったひとり、

 見るものもなく、、 呆然と見つむ穴もなく、、

 ただ、出来るだけ、 回転に近づこうという、、

 そんな、、

 身体はやわらかいエネルギーの垂れかかるほとんど先端と言ってもよいところで、、

 明らかに晴れて踊っている、

 は、私、回転だ、、

 とっても垂れた運動に身体ごと浸かって、、

 振る、振る、、振る・・・!

 それは小さな身体を持てばいつどこででも起こること、、

 私は踊り、

 回転を打つ、

 

 印象がいくつも圧縮されて、、

 奇妙に目を打つ、

 それから溶けかかり、 回転して、 染みになっていく、、

<1276>「ひとつの絵のなかに」

 何が伸びる(いったいいったいとなって)、

 それがそうっと手のなかにひろがりながら不思議な形をしていると言いたいんです、、

 またたくまにひろがり、

 指の形のなかにあまりに単調に、

 あまりに簡単にひそんでいると、

 格別に分厚いものがある訳ではないと、、

 そんなことを言っていたい、

 

 しかし、そんなことを言っていたところで、、

 なにか、伸びていくもの、なにか、伸びていくものを、

 今、これらの周辺におさめておく訳にはいかないのだから、

 忘れがたいもの、今も、

 ぱっとその時日を出る、、

 きれいに彫り込まれたその跡を、

 

 きれいに彫り込まれたその跡だけが、

 今日にひとつ残りました、

 今日にひとつ残りながら、、

 全身は静かに埋もれてゆくのです、

 そこに積もるのです、、

 堆積です、、

 こちらをさして歩くのです、

 あまりに見事な一日だったのではないかしら、

 動的な一枚絵に、

 そこかしこがまた今日で、陳列と、小さく埃が舞う、

 目指すものの、沈黙セイ、、

 ・・・、

 どのようにして(どんなにして)、

 身体を跳ねさせる、、

 数多ある絵のなかにまた跳び、戻る・・・

 

 そんなことは私にはよく分からないようだけれど、、

 ある一定の付き方、

 付着と、

 あんまり熱情からは遠いこと、

 歓びがはじめから内化する、、

 はじめのうちから内側に折れかかる、

 その全場面を一枚々々身体のなかにおろしていく、、

 私が、ひとつの時日に、ひとつのある見事さでもって彫られている、、

 それはあまり大きな音ではないので、劇的であるとは思われないまま、

 劇的を過ごしてしまった、、

 

 この時日が短い点となっている、

 重たく膨らんで来、

 私の腕に何となく絡まりながら一本の線を伸ばしてくる、、

 そのままで線は、 目線に、 目線という目線に出合い、、

 緊張したままで彫り込まれていく、

 みじかい呼吸を延々と立てているようで、

 状態が、なにであるか、、

 さぐりながら、、

 身体のなかでより密になってゆくことを、

 鑑賞というカンをなくしてゆくことを、、

 ただ圧倒的に見るだけである、、

<1275>「破裂する月日」

 水のなかにあまりに頼りない、、

 少し、膨らんではみたもの、

 これは、 ここで、あっけない姿を内に含んでいると、

 全身のあっけなさはこの水のなかに綺麗に現れていると、

 そんなふうに、

 ・・・それにしても、、いくらか香りを立て、盛り上がって来、

 はやく散じよう散じようと膨れる姿、、

 そこにはなんのテーマもない、

 壮大な音響もなく、

 ただ、ひとつの場所に位置し目一杯に膨らんでくる、

 私は破裂する月日だ、

 

 破裂する月日の内側、

 内側の生身が盛り上がって来、

 ただひたすらに跳ね回っていること、、

 あたしはそれをじっと見つめることが大体どんなことを招くかをゆっくりと考えていたが、たが、

 いたが、それでも、見ているのをやめたいとは思わなかったので、

 というよりは、やめるという現象があらわれなかったので、

 じっと事象を、

 捉えていた、、

 破裂する月日のなかにいつも水が流れていた、

 

 私はそれを手で掬うと、

 小さく、もっと小さくぼぉっとしてしまった、

 これはなんだろう、、

 ただにあたたかく、

 一切は割れていないようだが、それでも、、

 ここ、というさかいもなく、流れてしまった、、

 ちょっと、騒がしくなった頭で、、

 広場でもないところ、

 ぽっかりと口をアけたような小さな場所で、

 あれやらこれやらが、 ざわざわと駆けてしまうのを待っていた、

 そうやって、道筋、

 つけられているところの目、、

 今も眺む、

 あんまり破砕とも思わないままの、

 

 破砕の、裂けた時日の隙間からまた、

 あっけなく、

 あなたがひとりで覗いていること、

 あなたは、ひとりで覗いていることを、もっともらしく思うことを、月日と、率直な表情で、 見せる、

 ただいち紙切れが横顔に乗った、、

 そうだ、空気、空気という空気が、あなたを含み始めたのだと思う、

 ここで今も手に乗っていることは不思議だった、

 想念の、

 あるいはまだまるい、、

 あの、身体がひらけてくる月日の、

 裂け目に引っ掛かり、、

 ひとつは独話、、

 ひとつは流れる音響をききながら、、

 からだは水のなかを垂れて通る、

 それを掬うと、

 また騒がしくなってきた、

 ひとりで見ている、