<1347>「生活器のなかの振動」

 スローモーという、

 言葉の意味が今ひとつ通ってゆかないくらいには、

 そこで、静止で日を迎え、

 なんだろう、

 あんまりはやくに過ぎる声を、、

 ひとつまたひとつ と聞いて過ごしながら、、

 なにが、 これは停止なのか、、

 同じ場所に生まれているのか、、

 

 よく、呼吸も感じ合わされないまま、

 過ぎた、、

 まったく無言で通用する、

 の、

 その外殻から、、

 

 振動器としてのあたしの、

 いちいちをただ肌に当てているだけ、

 それで、なにかその領域で、、

 連なる、、

 まったく背面をすべて目にしながら、

 振動器、 からからと、

 

 ようやっと、 身体、うたいと、、

 これは、風にどう乗る、

 気がつかずにこのまま遠い地点までそのように生き、、

 振動の思い出を背中に映し続ける、、

 それが幾度も幾度も身体のなかを打ち、

 反響音のなかで、、

 初めて見る揺れとともに いつまでも打たれてぼうやりと私はその外殻を、、

 振動器の持つ影響を、 なにげなく見つめている、

 から、

 

 そっと渡した、、

 あまり、そっと歩を渡した、、

 私は、響きのなかを横断しているようでいて、、

 巻かれているのだ、、

 もうまったく‐好き放題に響いてくることに、

 その静止の姿のよう、

 あたしはちょっとぼうっとした‐だけぼうっとし続けるよりしょうがないのじゃないの、

 とひとつの目でそのように思った、

 

 あなたの生活器、 のなかえ振動を、

 ゆるやかに打っていく、、

 それで、なにかそれは良いの、と、

 いうのは、少しずつ分からない、

 身体が、 ひらいてしまっていること、それに、、

 重層的に打ち合って、、

 ここまで時期をズレにズレながら、ひろがり合ってくる、、

 それには、背面で、静止で、、

 およそ打たれているしかないのじゃないの、、

 なんて、、

 遠方へ、、筒から放られたように聞こえる、、

 あなたのその声の線を、、

 非常に身体の線が鮮やかにはじく、

<1346>「あんがい無言で」

 あの、

 はい、なんでしょう、

 いいです、それは、、

 なんでしょうか、

 いいんです、とても、それで、時間を掛けていくと思います、

 はい、なんでしょう、

 なにも動かないんじゃないか、 と誰もが思うくらいには、時間を掛けていくんだと思います、、

 はあ はあ、なんだか、

 それで、少しずつ分かると思いますか、

 彫っている

 それで、少しずつ変わるんだと思いますか、

 変化を、

 

 それで、いつもの日のようだ、

 微妙に異なるところ、、

 また、色が増してゆくところなど、、

 もしかしたら、栄えてゆくところに、少し、どうしようもないものが入っていて、、

 それを、いちいち見ているのじゃないかな、と、

 一回性の、一方向性のなかで、 まだいくつも呼吸であること、

 そのさわぎ、、

 気がつかないような、

 ・・・、

 どうしようもないって、良い言葉ですね、

 どこらへんが、

 もし、とか、他、とかの、さわぎのなかではないってことで、、

 私があんがい無言で彫り込んでいる、、

 その空気のなかなど、

 すぐにあらわれて、、

 まったくそのなかへ、めり込んでいるところなど、

 どうしようもなく見ている、どうも、どうしようもなく見ていて、

 

 少し、時間を掛けているようで、

 姿って なんだろう、、

 私は違うものに接近し得るということがあり、、

 今日もなにか納得している、、

 少し移っている、、

 どうしても場所は場所で移っている、、

 はずである、

 

 それなら、少し、戸惑う、戸惑う、、

 また別の通りを経過させる、

 新しく増えていて、

 壊れたあとに、、

 どうしても小さくひらいている、

 これからどこかへ向けてさめてくるような、

 

 はい、はい、

 あなたが、過ぎたことは、細かなことは、分かりませんね、

 それで、しばらく時間を掛けたいと思います、

 短く膨らんだり流れたりしているあいだ、、

 順にそれを覗きながら、、

 あんがい無言だな、穏やかだなと思いながら、、

 日を見る、、

 日を見て、、少しその分だけズレていくの‐を、送る、

<1345>「私は振動を生命線にする」

 感触がこんなだったかは分からない、

 でも、 大体においてこうだ、、

 もしかすると、点は他の点と混ざってあるのかもしらない、

 そんなことをおもった、、

 ひろい、、ひろがる、、

 大体において風はこうあると思う、、

 私は、本当に何でもないようにして歩いていた、

 歩いていることが不思議だ、

 

 私が、それこそ響きを、幾度も幾度も含んだとは思わない、

 それはなにだろう、

 いくつも吹かれていると、時々、駆けあがって、

 私が見ると、、

 そこは広い、、

 どうしても広いとしか言えない、

 道筋が付かない、、

 私は振動を生命線にする、

 振動は遠方をどう含もうとするのだろう、、

 

 隣に、凡そ、なにかこの吹き方を共有しない人とともにいて、それは、なんだろう、、

 私はこれはこれでこの隙間は良いと思った、

 汗が小さく浮き上がっている、

 光が強いに越したことはないと思っていた、

 ねえ、風が回る、、

 そうか、風は回っていた、、

 私は、振動の端に立っている、

 

 私にも点があると思うが、どうか、

 それは、 行ってみなくても分かるかもしらない、

 しかし、行ってみて明らかになるということはなんだろう、、

 少し、過去の振舞いを必要とした、

 いや、必要としたのじゃない、上手く馴染みやすくなっていたのかもしれない、

 振動は、少し眠たくなっている、

 

 ここに、少し生きていたかもしらない、

 それは誰が、

 それは、少し私が薄れていただけで、

 ここまでの道程を普通だと思ったんだ、

 なにか、当たりまえみたい、、

 どうして立っていると思う、

 知らない、少し吹かれると思う、

 

 あなたって、振れていて、時々、あたりまえに行き会う人だよね、

 どうだろう、、多くなってきた、

 知らない、

 それも、いつからか吹いている、

 なにか、あたりまえにあって、、

 私が、点の音と回転しているところにいて、

 どうしてだろう、、

 私は、輪郭と、気持ち良い、、

 あっというまになくなり、、

 ああ、とか、うん、とか、、

 少しもきこえなくなり、こぼれたいままで

<1344>「幾度か、同じ粒の中で、会いました」

 あなた、誰、どこかで会った、よく知ってる、

 知らない、そうか、私がよく会った、

 どこかで会った、人が大勢いる、

 上手く話した? 知らないの?

 ほら、そこに置いてある、ああ、それ、私の、

 分かった? でも誰だろう、

 少し、断って、 また混じるだろう、

 私、駅? どこだろう、混ざる? 何が、

 知らない、 とくに走ってはいない、、誰に会ったんだろう、

 

 ええ、少しも知らないというのでなしに、

 少しは知っているとおもうけれど、、

 誰か、声を掛けていて、

 なに、少し声が分かるんだけど、、

 あなたがここにいたって、

 場所はなんとのうあっけらかんとしてたわ、なんて、

 そう、なんだろう、よく見ていたという、

 

 ええ、それは私だって驚きました、

 でも、どう驚いたらいいか分からないというか、、

 探って、、

 また今からあらわれるんですから、それに、、

 すごく良い風でした、なんて、、

 誰なんだろう、

 私は、 もっと見ているような気がしました、、

 そんなにして、

 次から‐次へ、 誰だか、不思議だなあ、

 ひとりでしたが挨拶をしました、

 

 ねえ、そうでしょ、見た? 分かんない、

 なんか話したっけ、って言って、

 少しおかしいな、、

 

 駅があって、立って見ていました、、

 そのほかに、 することがあっても、そうしていて、、

 動いていきます、、

 なにもかも動いていて、そのなかに、ちらほら、私の知っていることなども、あったりする、

 あたりまえのようで、、

 どう声をしたらいいか、

 どう声をしたらいいのか分からないと言うような、

 そのまま、私も少し混ざっていって、

 ちょっと当たり前のような姿をする、、

 元気でしたか、なんて、、

 誰だろうかと思っても、、

 もっとよく見ていても、なにだか分からないような気がするけれども、

 どうも、よく会っていましたね、、

 同じ粒のなかにいましたね、

 不思議に移るのなんて、あって、、

 私が立っていました、、

 これは当たり前ではないけど、

 よく、また、 そうやって会う気がするので、

 誰かは分からないけど、

 言葉だけは知っているから、

 少し懐かしいと思えたり、

 あらわれたり、 する、、

 私が感慨でないのでちょっとおかしく存在してしまったり、、

 からだごと流れていたり、、

 歩いているところを見たりする、

<1343>「皮膚を持ち、風の中で変更し始める」

 そこにいた、そこにいてっていうまま、訳も分からず、

 なにかよく音がきこえるようになり、、

 立っていた、はっきりしたことはなにも、

 それで、なにか、立っていてもいいけど、、

 それはそれとして少しくねりました、

 

 よくは分かっていない、

 また見る、どうも見るということ、

 ひらきたいだけ身体をひらく、 と言うような、

 それは、動くのと、

 よくは分からない、

 身体が上手く絞られてきた、

 あんがいこんなように音を出して、

 はい、生きました、とでも、言うような、

 

 それは、そうと、

 どうしても日があり、、

 ひとりはもそもそと覚め、

 歩き、、

 上手く 染み出したと言う、

 分からない、なにが生きているか、

 駆け上がるような、

 けものも一緒に立ち上がる、、

 ただもう、皮膚があれば、さらして、、

 風の中で変更し始める、、

 風の中で駆け出し始める、、

 ・・・

 

 それはそうと、分けて、、

 別様みたいな、、

 ひと呼吸みたいなものでここまで大きく膨れ上がっていることなど、

 どれも同じ日のように、

 同じ日のように 丁寧にこするのを、

 それはまあそうだろうと、

 日を見ていたり、、

 明らかに 目覚めたりして、

 爽快でも、 知らなくて、、

 ただ浮かんでいたり、

 あなたが見えることを、、ひとりで知らなかったり、

 少し帰る、、

 帰ることに触れている、、

 

 だけど、、 生きていることがたまっていたり、

 流れたりして、

 隠れていたり、 見えなくて、、

 もう、全く道という道、

 ひとつのかたまりのように、、

 それから順次溶けてゆく、いや、かたまるそばから溶けている、それを、

 なんとなし眺める、、

 私は、起きていること、、

 起きていることが見えている、

 もう少し というほど会っている、、

 まったく誰でもという訳でもなく、

 浮かんだり、

 流れたりする、

<1342>「あんまりとけてしまう、」

 これはどこのほどにもなくこれほどまでにもなく名前がある、、

 あるいは流れたまま、、

 それはどこというほどもなくどこというわけもなくここだ、

 ここなのだから、

 どれほどの多量、、

 ダイナミク、

 と、

 いついかほどなるときと言えどもただただ歩ける、

 ひとりの名前がある、

 あれば、、見て、走る、、

 少し涼しくなりました、少し風を受けて、

 これがどのくらいかも分からず軽く、

 流れる、

 

 一体、幹。

 あんまりとけてしまう、、

 時間というほどもなく大袈裟どころでなく、

 身体が、やっぱり、嬉しく、、

 どこか集中を逸らして線に線に散じてしまう、

 その中を、

 幹を覗く、

 あればあるだけどんどんどんどんこぼれ、

 溢れたく、、

 少し溢れがたい、、

 緩やか、スローモー、映る、、

 あんまりほらのなかを生きていさえすれば、

 あっけなく光りあっけなく回る、

 あれというほどあわれということもなくさらさらと風がひといき吹いて私のめまえに、

 めまえに 姿があらわれたりあらわれなかったりする、、

 

 今、という、言葉の後ろへ、

 そうしてそんな目線のなかえ入り相手の人が戸惑い後れてあたしも驚きまたちょっと遠くなること、、

 遠くの方から吹いてくるものにすっかり乗り巻かれていること、

 長い長い対面、

 もう少しするとまったくほかのことをひとりでおもう、

 それはそれということもなく歩く、

 歩く、私の姿が、

 ただの波みたいに

 ひとふきで寄せられてしまって、途方もない、方角もなければ、歩く、様々に付着する粒だけがあり、、

 香りがし、湿っている、

 少し湿っている、、声になる、

 少しなんのためかは分からないまま声になる、

 私が紛れてくる、

 あるいはここということもなくどれというまもないまま瞬時にあらわれさらわれ、流れ、

 ものは見事にそこへ立つ、走る。

 熱があって、走る。

 多量のなかにまたいくらも走り去る粒がある待っている、

 そうしてそれがためにでもなくほとんどぼうっとそこいらへんを眺めては眺め、少し立つ、、

 静かな身体たち、

 私と今の背後で、、

 まったくあたりまえの成り立ち、去ったり去らなかったりする、

<1341>「人が静かにほどけている」

 ねえ、どこへ行くんですか、 と訊いているそばから、どうも変なことを訊くものじゃないか、 とひとりでに思ってしまっている、、

 え、えという言葉も、 もうきこえていない、、

 私はともかく湧き出してしまい、それに加えて名前なんです、

 膨れたいだけ膨れてゆくのかもしれない、、

 なるたけ軽やかになる、、

 日々打ちつけてゆく動き、、

 それじゃあ、あなた、何が出来るんですか、ときいて、何をおかしなことを訊くものだといちばん初めに私が思った、、

 それで、誰でも、黙って見ていた、、

 

 私は、付き合いを続けよう、 と思ったか思わなかったかして、

 ぼんやり、膜が張られているなかへすっと滲み出し、 身振りと、どこまでも近く、どこまでもズレているその付き合いに、じっと、じっと入っていった、、

 それが何かが分かりますか、

 私には分かりようがない、

 どこか、動いているものがあれば、、それに身体を付けていくのだ、、

 

 私が不思議でないとしたらなにだろう、

 一体途方もない、、

 そのまま手は振れている、

 手がはっきりと見えて、、

 はっきりと湿り出していたんだ、、

 どうやって揺れよう、、

 どうやってこのものを彫り込んでゆこう、

 そんな、

 

 あんまり頼りなげな小さな音を立てて身体が巻いている、

 巻いている、おそらく、

 私には分からないだろう、、

 流れて流れてほぐれてあとにはなんらの身体も残っていないというのはなんでもないことなのだ、、

 人が静かにほどけている、

 私は自分の手を見ていた、、どうにも分からなかった、、

 

 日があって、、

 しばらく隔たっていて、、

 ポツンと置かれ、私も、ただなんでもない場所もただポツンと置かれているだけにおもった、、

 どう立っていたらいいかもう分からなくなった、、

 種々の声が聞こえていた、影が立っていた、

 ・・・

 私もここの空気を吸っていた、、

 立っていた、頼りないことだが、

 

 なんていう日を見つめているのだろう、、

 もし、あなたが立っているとすれば、、

 ここの空気もおなじなようになるのではないかしら、

 流れて、流れて、もう違う風景が立っている、

 ゆっくりのびる光を吸って、

 呼吸、

 手があって、

 ひとりでに見ている、、

 どう振るうとよいかは分からない、