いやそれって嘘じゃん?

 世の中には、聞かされるこっちの方が恥ずかしくなってしまうような甘い言葉がありますね。 まあ、そういう言葉も堂々と言えるようになるのが大人になるということなのかもしれません。相手も喜びますし。

 ただ、そういった場面に仮に出くわしても、ある種の「良い嘘」のようなものはつけないだろうなあと思います。言ってるそばから「いや、嘘じゃん」と自分で気になってしまうのです。

 例えば、

「絶対に君を守る。」

 

なんてのがありますね。男気があります。ただ、「絶対守る」というのは不可能です。想像してみてください。たといカップルとはいえ、24時間365日一緒にいる訳ではありませんね? ですから、彼女が一人で街を歩いているときに、通り魔が後ろから彼女の心臓めがけて一発、「ブスリ」といったならば、彼女の方はひとたまりもありません。

 後になって、彼女のご両親に

「キミ! 絶対守るって言ったじゃないか!」

なんて言われた日にゃあ~もうたまりません。困ってしまいます。

 このように「絶対守る」っていうのは良く考えたら不可能なんですね。ですから「嘘」です。最悪の場合、ご両親にイチャモンまで付けられます。

 

また、

「絶対に彼女を幸せにします。」

というのもありますね。ただ、申し訳ない、これも無理です。 そもそも「幸せ」というのは心の状態ですから、他人がどうこう出来るようなものでもないんですね。いくら最善を尽くしていたとしても、相手の方のコンディションが悪いばっかりに、相手の方の事情で全く「幸せ」を感じられていないなんてこともあります。 つまり、「幸せ」を享受できる精神状態にあって初めて、「幸せ」を感じられるのですね。 他人が外から「幸せにしたり、しなかったり」というような操作を行うことは不可能といっても過言ではありません。これも、ですから「嘘」ですね。

 

「君だけしか見えない。」

こういうのもありますね。えー彼の視野はどうなってしまったのでしょうか。まず眼科に行くことをおすすめします。

 まあ百歩譲って比喩表現だとしてもですよ、それは相手方が期待するような「ずっと君しか眼中にない」というようなことではなくて、その一瞬、とりあえず「君しか見えない」というのが妥当だろうと思います。その後、街に繰り出して、美女と会おうもんならもう、大変ですよ。一心不乱に目で追いかけるでしょう(私なら追いかけます、申し訳ない)。 という訳でこれも限りなく「嘘」に近いですね。

 極めつけは、

「世界で一番君が可愛いよ」

ってやつですね。これは一番タチが悪いですよ。どうしてかって、言ってるそばから、後ろに映ってるテレビで醤油のCMやってる麻生久美子さんの方が何倍も可愛いなと思っちゃってるんですから(モチを伸ばすのは反則でしょう)。もう既に順位が一つ落ちてます。という訳でこれもたいがい「嘘」ですね。

 

 ところで皆さん、気にしなくても良いことを気にしないというのは大事な能力です。

 是非世のため人のため「良い嘘」をついていってください。