ミッキーの中には・・・

 私が、とても「野暮」だなあと思っていることがありまして、何かというと、

「アイドル熱愛発覚」

というやつなんですが、

「あえて、わざわざ言うことか?」

と、こう思ってしまうんです。 イヤイヤ、「恋愛御法度」のアイドル界隈において、「熱愛発覚」は大ニュースじゃないですか、と言われるかもしれませんが、10代や20代で人前に出て、「アイドル」という職業でやっていけるほどの美貌を備えていながら、浮いた話のひとつやふたつも無い方が不自然だと私は思います。

 

 それでも、その上で「恋愛はしていません」という「建前」を「ファンタジー」をちゃんと楽しめるだけの能力が多くの人に備わっているからこそ、アイドル業界はちゃんと盛り上がっているのだと思うんです。そこへきてあえてギチギチに、

「本当に恋愛していないのか? どうなんだ!」

と詰め寄っていくのは「野暮」じゃないだろうか。「ファンタジー」を楽しんでいる人たちが大勢いるのに、ということを考えてしまいます。

 ジャンルは異なりますが、例えば何かの芝居を見ていて、

「あそこの舞台で何かやっている方、実はあれ演技なのよ、本当じゃないのよ。」

と言われて、

「うわー演技だったの? 幻滅したー。」

とはならないでしょう。それはちゃんと「ファンタジー」として舞台を楽しめているからです。

 また、

「ディズニーランドにいるミッキーって、実はあの中に人が入ってるらしいわよ。」

と言われて、

「うそっ、本物のミッキーだと思ってたのに騙された!」

ともならないでしょう。ちゃんと「ミッキーはミッキーとして」楽しめているはずです。 もし、「中に人が入ってるらしい」なんて言われたら、

「いや、そんなことは百も承知だけど、わざわざ言うことではないでしょ。野暮なことを言うねえ。」

という感想を抱きます。

 これと一緒で、私にとっては、週刊誌の「熱愛発覚」記事は、「ミッキーの中に実は人が居ました。」というのと同じくらい「野暮」なことのように思えます。

 

 もう少し、「ファンタジー」として楽しむ心意気を持ってもいいんじゃないでしょうか。