将棋ソフトの台頭で

 もういくらか前から、将棋ソフト 対 プロ棋士の対決をニュースなどで見聞きすることができます。最近は、プロ棋士もなかなか将棋ソフトに苦戦を強いられているなんてことを聞いて、

「いやあ、なかなか将棋ソフトも凄いところまで来てるんだなあ。」

なんてことを思いながら、楽しく情勢を眺めています。

 しかし、一つ、私にはよく分からない反応があります。それは、

「プロ棋士は将棋ソフトに取って代わられる。」

「プロ棋士の役目も、もう終わりだ。」

といった類のものです。私は、将棋ソフト 対 プロ棋士のような異種格闘技戦のようなもの自体は、面白い試みだし、今後も続いていったら面白いなあというようには考えていますが、仮に今後、羽生さんや森内さんのようなトップクラスのプロ棋士達が、将棋ソフトに完敗するような事があっても、プロ棋士が将棋ソフトに取って代わられるというようなことになるとは全く思いません。

 何故なら、将棋に限らずどのスポーツでもそうですが、「仮にも同じ人間が」あれだけの高みに至れるものかという点に驚きと興奮を覚えるからです。たとい機械が人間の技術を越えていっても、

「はあ~すごいなあ~」

と単純に思うだけで、それ以上の興奮は、私は感じません。

 例えば、野球で、200キロのボールを投げるピッチングマシンがあったとして、その球を見たとしても、170キロのボールを投げるチャップマンの球を見たときの興奮とは天地の隔たりがあります。

 また、サッカーにおいても、クリスティアーノロナウドより速いスピードでFKを蹴るマシンが出てきたとしても、その速度にビックリするだけで、何の興奮も感動もないと思います。

 それは将棋についても同じことが言えると思っていて、いくらプロ棋士より将棋ソフトのレベルが高いということになっても、将棋ソフト同士の対戦を見て、プロ棋士同士の対戦より興奮できるかと言ったら、非常に怪しいと思っています。

 最初は物珍しくて注目されるかもしれませんが、将棋ソフト同士の対戦など次第に見なくなっていくのではないだろうかと思うんですが、どうでしょう。