誰に助けを求めるのか

 『なんとお気の毒な・・・。誰かに助けを求められなかったのだろうか? 助けてと言える相手がいなかったのかもしれないな・・・』

 などと、自ら死んでいった人達の話を聞きながら、勝手に気の毒がっている私は、果たして、いざというとき、誰に助けを求めるのだろう。

 にこやかに居間で会話をしている親、兄弟を前にしても、

「助けて」

はおろか、

「私、今ちょっとしんどいんだよね・・・」

と言うことすら出来ない。

 仲の良い友達に電話をかけて、

「何だか、ちょっと苦しいんだわ」

と言って、話を聞いてもらうことすら、ためらっている。

 そんな私が、いざというときに、誰かに助けを求められるのだろうか。

 他人のことを気の毒がるのは勝手だが、私だって、後になって、

「助けてと言える相手がいなかったのかねえ・・・」

と、気の毒がられる側の人間ではないのだろうか。