今となっては、どうせ嫌そうな顔をして冷たくあしらわれるだけだと分かっているから、相談しに行くことは無いが、以前は、別に何があった訳でもない、具合が悪い訳でもないのに、何故だか気分が落ち込んでいたときは、
「何でか分からないけど、気持ちが塞いでるんだよね」
と言って、親に相談をしに行っていた。
ただ、相談をしても、顔をしかめながら返ってくる言葉はいつも決まって、
「気にし過ぎだよ」
「考えすぎだからだよ」
といったようなものだった。相談するといつも、そう言って無理やり納得させられるのがオチで、ただただ訳もなく落ち込んでいる状態を理解しようという意図はまったくもって感じられなかった。
それに、その当時は言われたことを素直に受け取って、
「考えすぎるから、気分が落ち込むのかなあ・・・」
と思っていたのだが、今となってはそれが間違いだと分かる。というより、順番が逆である。
「訳もなく気分が落ち込み、その気分を受けるために、考えすぎてしまう」
という順番なのだ。考えすぎが気分の落ち込みを誘発しているのではない。その逆だ。