無気力と平静

 心に波風が立っていない。それは、良い意味でも悪い意味でもそうで、深く心を動かされるような事もない代わりに、内部はものすごく静かである。

 一見すると、これは無気力のときと同じような状態に思われる。無気力のときも、全てのものが、私にとって大して興味もないものに映る。故に、良い意味でも悪い意味でも、心が揺れない。

 しかし、どうも無気力のときのような、

「言いようのない、どんより感」

が、自己の中に存在しない。何をやっても仕方がないというような気持ちになっているのではなく、何もやっても(それが社会的に悪いことでなければ)、それなりに大丈夫なんだよ、というような気持ちに支配されている。

 おそらく、これが平静というものなのかもしれない。至極穏やかで、明るいも暗いもない。それが良い状態なのかはちょっとよく分からないが、とにかくそういう状態にあるんですよ、ということだけは言える。