思うままに寝られたら寝られたで

 特別に嫌だとは思っていない予定であっても、それが入ることによって、起きるべき時間帯が自ずから決まってきて、そうすると、ベッドに入らなければいけない時間も大体決まってくるというような事になるが、その一連の流れが私はあまり好きではない。

 むろん、

「~時頃までに寝て、~時までには起きなければ」

という状況に置かれるのが好きという人を探す方が難しいだろうことは分かる。ただ、学校にも職場にも所属せず、思うままに寝、思うままに起きという生活を体験したことのある私から言わせれば、

「起きるべき時間と、寝るべき時間」

が決まっていない生活が、では翻って快適かと問われると、そうでもないというような結論を用意せざるを得ないことになる。

 思うままに寝て起きるという生活も、最初は自由を感じるものだが、それが習慣化してくると、それはそれでいくつかの苦悩が浮かび上がってくる。例えば、起きなければならないという用がないので、やたらに寝てしまって逆に疲れてしまうだとか、次第に睡眠のリズムがぐちゃぐちゃになっていってしんどくなるだとか、その他諸々、そういう生活にはそういう生活なりのストレスというのが伴ってくる。

 そうすると、

「思うままに寝られていた状況」

に居たときの視点から、現在の状態というのを見返してみれば、

「起きなければならない時間が決まっている」

という生活スタイルも、悪い面ばかりではないということに気づける。

 かと言って、そのスタイルはそのスタイルでまた習慣化してくれば、そのスタイルなりのストレスというものが生まれてくるので、理想の生活スタイルというのはもしかしたら、

「思うままに寝て起きる生活リズム」

と、

「起きる時間が決まっている生活リズム」

が、お互いにマンネリにならない程度に、ちょくちょく入れ替わるというものになるのかもしれない。

 そして、そういった生活を実現するためには、まず、

「思うままに寝られる状況」

というのを獲得してそれを基底に置き、その上に、自らが予定を能動的に追加していくというリズムを加えることが必要になると思うが、そのような状況を獲得するには、まだまだ勉強が必要だというような気がしている。