野球を現地で観戦したり、歌手のコンサートに赴いたりするなど、一度体験してみるまでは、
「選手や歌手などに、近い席であればあるほど良い」
と考えていたものですが、なるほど確かに近くの席というのを体感してみると、それはそれで良いものな訳です。顔もハッキリ見えますし。
ですが、近い席を体験してみて初めて、遠くの席から眺めることの良さ、味わいも分かるようになり、ともすると、
「遠い席から眺めている方が、どちらかと言えば好きだ」
なんてなことを思い始めたりもします。
遠い席から眺めることの何が良いのかというと、
「確かに現場へ来て、生で体験しているんだけれども、距離はすこぶる遠いし、人間の大きさは豆粒ほどにしか見えない」
という所から、
「一体これは現実なのか夢なのか」
という不思議な感覚へと陥れる所がとても良いのです。
試合やコンサートが終わった後、
「果たして、今私が見てきたものは現実だったのか夢だったのか。何だか不思議な体験だった・・・」
という感覚になれるのは、決まって遠くの席から眺めていたときです。近い席で見ると、近い分だけの迫力、興奮は得られるのですが、体験の現実感というものが徒に強くなってしまうという惜しさがあります。