適度な距離

 別に、実際に会った訳でも、これから会う訳でもないのに、生きているときは何だか存在が大きすぎて、距離が近過ぎるように感じ、亡くなって初めてその人と私との間が適度な距離となったように感じることがある。

 その人の書いたものに触れるにしろ、映像群に触れるにしろ、実際に生存しているか否かはあまり関係ないはずであるのに、亡くなってからの方が、距離感が程良くなったように感じられ、作品にも触れやすくなったように思えるのだ。

 言っていることが矛盾するようかもしれないが、距離が程良く遠くなったからこそ、逆にその人に親しみやすく、その人のことを身近に感じることが出来るようになったりするのだ。これは何であろうか。