あれも幻想、これも幻想、確かにあると信じているのは勝手な思い込み。そうやって、厳として存在しているかのように見せかけているものを、丁寧に丁寧に剥いでいく。そこまでは良い。
だが、そうしていると、その先に、
「じゃあ、一体どうしたら良い?」
というところへと、必ず辿り着くことになっている。そこはぐらぐら揺れていて、不安定だ。それでいて、答えらしきものも(おそらく)ない。つまり、ぱたっと揺れの止まってくれる保証もない。
それでも、その揺れている地平以外の場所を、私は信用しない。不安定で、危なっかしいが、揺れているものはある程度信用に足り、堅固だと嘘をついているものについては信用が置けない。