関心を持たないのは嘘?

 「関心を持たないのは嘘だよ」

特に、大きな問題、悲惨だと思われる問題など、それらの問題に関心を持たないのは、どこかで自分に嘘をついているのだ、と。果たして本当にそうか。

 努めてそういった類の問題に関心を向けようとしている人だって、全ては追い切れないはずだ。そうすると、追い切れていない部分では嘘をついていることになるか。それとも、

「いや、全力で様々を追った上で、それでもカバーしきれずにいる部分がある、といった状態はセーフだ」

という判断を下すのか。しかし、そう下すとして、それはどこから拵えた判断基準か。自分で勝手に線を決めただけなのではないか。

 関心を向けているところの全く被っていない2人がいたとすると、それはお互いの興味関心が違うというだけに収まらず、一方が関心を向けているものに、他方は向けてないというだけの理由で、各々が自分に嘘をついていることになろうか。

 また、出来事の悲惨の程度が大きいものに目を向けている人は、全てをカバー出来ていなかろうが、嘘をついていることにはならないと言えるのだろうか。さして悲惨でもない問題に集中している人は、何かの嘘をついているか。