一旦離れて粘ってみる その後、上へと移動する

 行く手の地面を、鳥が群れを成して遮っている。構わずにズンズン進むと、やや遠くの方へ低空飛行のまま離れていき、その離れたところの地面へとまとまって着地した。

 しかし、離れたとは言え、依然として私の行く先を遮っていることには変わりがなく、そちらへ向かうよりほかないのでまたズンズンと歩を進めていると、鳥の群れはようやっと観念したかのように勢いよく上空へと飛び上がり、近くの木へと止まったのだった。

 さて、このような流れは前に幾度も体験したことがある。鳥は、何かしらの執着が地面にあるのか、私が通ろうとしても1度目では上空へと飛び上がらず、

「とりあえずこれぐらい離れておけば、あいつはどこか他の所へ行くかもしれない」

と言わんばかりに、申し訳程度に通り道のやや奥へと移るだけで、なんとか事を済まそうとするのだ。

 そして、相も変わらずに私がその道を進み続けることが分かった、その2度目か3度目かのタイミングでようやく観念して上空へと飛び上がるのだ。

 この一連の動き方は何とも不思議だ。例えば私が、様々の方向へと進路を変更することが可能な枝別れの道を歩いているのならともかく、他の道には進みようのない一本道を歩いていて、私はもうそこを通り抜けるより仕方のないことが明らかになっているような状況に置かれているときも、鳥は一旦、その道の延長線上へと退くのだ。心持ちほんの少し退いたぐらいでは、また結局すぐに歩を進め続ける私の邪魔に会ってしまうことぐらい、鳥に分からないはずがないと思うのだが・・・。