無くなると困るかも

 痒い。勘弁してもらいたい。痒みは集中力をごっそりと奪っていく。これでは、進むものも進まない。痒みなんてもの、無くなってくれたら良いのに・・・。

 ただ、

「無くなったら困るかもな」

とも思う。進もうとしていたところを中断してくるだけなら、痒みなんていらないということになるのかもしれないが、痒みは逆に、滞っていたものを、

「掻きだす」

ことによって進めてくれることもあったりするのだ。もし痒みが無くなった場合、滞ったものはそのまま滞りっぱなしということになることもあるのかと思うと、それはそれで怖いなと感じる。

 また、前述したような、

「進もうとしていたものを中断させる」

作用にしても、それが、

「あんまりそんなに躍起になって進めると、身体に良くないよ」

というストップの役割を果たしていることもあったりするもんだから、厄介ではあるが、痒みにはこれからも、ほどほどに登場してきてもらいたいと考えている。