やりっぱなしでほっといてもらえるのは最高の贅沢

 何かを披露すること、その全てを自己顕示欲に結びつけられてしまうことには違和感があるが、

「どうです? こうですよ?」

というコミュニケーションをしたいということには間違いがないだろう。

 ただし、

「こうだ!」

と抑えきれないものをひけらかすことによって、構ってもらいたいのかというと、それはそうでもなかったりする。勝手にこっちでやって見せて、後はポカンとした顔でほうっておいてもらえるのが1番良い。文句を言われるのは勿論のこと、褒められることによっても、次にまたやることに対するためらいが生まれてくる。

 だから、最高に贅沢なのは、やりっぱなしかつほうっておかれることなのだ。ただ、こちらが何かを流れ出させる以上、相手には何かしらを訴えてしまうことになるから(それは、「不快だ」とか、「意味が分からない」とかでもそうだ)、相手は相手で、全くもってほうっておくことが難しくなる。まあ、だからこそ贅沢だとは言ったのだが。

 「いやあ、良かったですね」

 「ああ、ありがとうございます。でも、ただやっただけなので、私はこれで・・・」

 「いやあ素晴らしかった。もう1回、もう1回」

なんてことになって、次がやりにくいなあなんて思っていると、それを、私が無邪気に喜んでいると勘違いした人が、

「いやあ、私はそこまで良いとは思わないですなあ。だいいちこの人はね・・・」

と入ってくる。これはこれでまた面倒だなあと思うけれども、そこで称賛者と批判者が、

「何ですか!」

「そちらこそ!」

と勝手にやり始めてくれたらばチャンスだ。すーっと抜けて、ふらーっと公園にでも散歩に行こう。