カレンダー

 部屋の隅っこに、わりかし大きなカレンダーが懸かっている。カレンダーの役目を果たしているのは下半分だけで、上半分にはどこかの風景写真が大胆に印刷されている。

 どこか外国の、鉄道が通う郊外の風景のようだ。長閑さを直に耳元へと響かしてくる風景に、ふらっとその場に立ち寄ったような気を起こされたが、ふと、どこかと似ているような感じを覚えて、すぐにまたぎゅうっと部屋の中へ引き戻された。

 そのまま右向け右し、カレンダーを後にして窓際へと向かう。カーテンを開くと、カレンダーと大差のない光景がそのまま広がっていた。鉄道が通っている、建物が程よく並んでいる、間に、挟み込まれたような木々が繁っている・・・。

 再びカレンダーの前まで戻り、ページを1月先へ送ってみた。まだ半月ほど残っているが、早々に今のページは破ってしまおうと考えた。