退歩

 あんなことを進歩と呼ぶのなら、勧んで私は退歩しよう。徹底的に遅れて、もう、しばらく先端には帰ってこれないように・・・。じりじりと後ずさりするもよし、すっかり後ろへ向き直って、思いのままに駆け出すのもよしだ。

 意のままの墜落。そうせざるを得ないにしろ、力が無かったにしろ。理解が深まったと自負する土壌には、枯れた枝すら残らずに、無理解のそれには一面の緑しか見当たらないことは・・・。