ひと重なり

 過去から郷愁によって引っ張られ、一方の端では、未来がそれを眩惑し、絶えず引き合い続けた末のたるんだ中心部で、柔らかに包まれている。

 夢よりも夢らしい景色。それがひと重なりだと思えないような。名前のない場所で、躍動する身体が掬うものは。

 ことあるごとに訪れる、昨日見た場所。ぶら下がったプレートの下で、聞かれる潮流の響きとは。