<28>「全てがコントであれば」

 興味を失した瞬間の表情に敏感すぎるので、長く喋っていることが出来ない(もしくは、喋ったとしても始終おちゃらけてしまう)。それで気づいたのだが、どうやら、他人が興味を失っていようがいなかろうが、構わずに喋り続けることの出来る人の方が多いようだ。また、そういう人の方にこそ気楽さを感じるということも分かった。興味を失したのを察して即座に黙るのは、その瞬間々々では良いかもしれないが、全体で見れば逆効果になる。

 では、それで直すかというと、そういう訳にはいかない。逆効果であることを悟りながらも、他人が興味を失っていると分かれば、やはりその瞬間からすぐに黙るようにするだろう。それはもはや気を使っているのではなく、ただ単に激しく落ち込んで、萎えてしまっているだけなのだろう。全ての瞬間が、コントみたいに滑稽な流れで展開すればいいのに。そうしたらどんなに楽だろう。会話の達人たちは、互いに興味を失したままで、全く平気そうである。