<114>「核が定まっていれば」

 こうと決めたらそれに一直線だもんね、そうか、こうと決めたならそれに一直線、そんなことは思ってもみなかった、というより、別段意識してみたこともなかったが、なるほど確かに言われてみればそうなのかもしれない、嬉しかった、大事なところ、核となるところの決断というか決意は譲ったことがなかったのだ、ちゃんとそういうように映っていたし、思ってもみなかったが実際はそうであったことに安心した。というのも、自分というものがまるでなくて、他人といるときも優柔不断で、こうしたいああしたいということがほとんどなくて、どうしてこうもフラフラとしているのだろうと若干気にしていたからなのだが、確かにそれは事実で、しかしそれは、核のところはどうあろうと譲らないという中心があるから、その周辺はどのようであってもいい、どう振舞ってもいいということなのだろうと思えたのだ。一番譲りたくない部分、こうと決めていて揺るがない部分以外は比較的どうでもいいと思っているのだろう、だからそれが定まってさえいれば、どこに行こうが構わない、どこに寄ろうが気にしない。