<221>「ほうけたひとひ」

 絶叫が静かに吸収され、それは愉快だ。空洞が紫色に響く。誰が通るとて、その場しのぎの霧雨は、止むことを遠慮しているようで儚い。ひりひりとその皮膚が、山肌を順に渡ると、どうしようもないのだよその頃の温度が、ひとつ、ふたつ・・・。泣くのだけれど一度、ひたひたの地面を割れながら進む。おおみち、こみち、そこらに散らけて、染み込む親指、ぐびと指し、西を見、左を見、遠回りしながらも足音を聞き漏らす。よく切れる朝焼けの際。