<228>「時間が矛盾する」

 これをしたから当分大丈夫だ、ということは絶対にないのが難しさでありまた、異様な不思議さでもある。例えば、楽しみがあったり、何の不安もなかったり、ならば大丈夫だろうと自分も他人も思うのだが、ここにはどうにも繋がらないものがある。先に不安がないとか、あの日が楽しみであるなどということは、全く関係がないと言っては語弊があるが、今この瞬間のマズさというものと、確かな結びつきがあるとは言えない。

 瞬間的人間である、ということは、一瞬一瞬の短さの中に放り込まれているということだけを意味しない。それは、確かに切れている状況の中にあるということだ。全然ダメだな・・・と思いながら、この瞬間が周りからは全く隔絶されていることに、また、この瞬間を抜ければ、次からは嘘みたいに大丈夫な状態になることに、愉快なぐらいの違和感を覚えて、ダメの最中にふわりと浮く。それでどう抜け出るというものでもないのだが。次の瞬間には全然大丈夫だということと、次の瞬間には全然大丈夫だとかは今この瞬間には関係がないということとが両立するのは不可解ではないか。