<249>「全身が砕かれることを意識した鳥」

 全身が砕かれることを意識した鳥、そんなものは存在しないのか?予定以上の速さに乗って、何ともないことを疑いたい。不可思議と緊張、それが常日頃の面持ちであり、そこに最悪の想像の影はない。盛り上がりつつ彎曲する両翼の、視界は木の尖端を触れ、一枝掴みそこねつつ、暗がりの鳴き声。傾きかけた首にとおせんぼの閃き、加速し、現実感のない軽さはそこにいくらかの風すら残さないよう。切り貼りした風景を続けざまに横切り、安堵の息すら漏らさぬ。バラバラになった自身を見つめ、それが何であるかすらもまた・・・。飛躍に必要なのは、恐怖心がないことではなかったのだ。