<265>「除け者」

 何の返答もない空間で、黙って立っていることが出来ない、ただ座っていることが。最初から既に除け者であることの証拠として、これ以上のものはないではないか。答えなんて誰も必要としていない空間で、ただひとり、ただ一種類だけがそれを探している。尤も、除け者にすすんでなったのか、除け者にされてしまったのか、それは分かったものではない。答えをついに見つけられなかったのだと、過ぎし人を嘲り、答えなんてないと悟った人を軽蔑し遠ざけ、自分だけは何かを見つけられる可能性の中に置いておく、そもそも成立していない可能性の中に。

 そんなことは知っているのだ。答えとかではないということを知り、その可能性が最初から成立していないことを知りながら、その中に身を置いているのだ。いきいきとするためにはどうしてもそこにいなければならない。尤も、いきいきとすることがどれだけ重要なのかは分からない。