<295>「けぶる午後に」

 心象風景が穏やかな午後を襲い、変色する夢を頻りに追いやっているその影が、ひとつふたつと景色を見破る。泣き喚く者どもの夢を捕らえ、安直に結びつける額を叩いて、飛ぶ馬の境をひたすらに撫でた。ああ、暴走通りの気味悪さ、熱帯地方のどよめき。

 ひっくり返される到達を、半ばは避け半ばは笑い、はばたき合いながら不条理な転倒を儲けの最後と決め、踏んだり蹴ったりの夕べをいそがしく見つめる。見ては去り、見て帰り、帰り際の挨拶はいつになく、回想する運命を快く通した。積み上げられた泥炭をひしと撫ぜ、捨てられた者たちのための歩みをしぶしぶ再開するのだ。