<326>「流れ、食べる」

 束の間、何も考えずに飛んでいるであろう者は、行く先を、方角をどのようにして決めるのだろうか。何となく流れで着いてしまう場所は、はて、私がここにいるはずがないという訳ではないけれども、どうしてここにいるのかしら? 約束事のように首を左右に捻り、次の目的を思い出すまではボーッとしている。そうしているうちに家に着く。家に着くというのはどうだろう? 悪くない。尤も、着かなかったとして他に行くあてはないのだが、行くあてがないということが一体何であろう。知ったことであるような顔をよく撫でて、ザラザラとしている。そこはかとない優しさで無計画の道を示す、よく褒めたげる。さて、何かを食べるのだったか、襲うのだったか・・・。