<340>「染みのなかで響く声」

 何だ、部屋の中をぐるぐるぐるぐる回って、制したい気持ちがまるで濃厚なケーキか何かのように全身を経巡ると、早く溶け出したいような様子で椅子に跨る。跨り続けて説明を必要とするのだ必要としたいのだが、私に解決する術は残されていない。悲しいかな優しい涙はそこでいつまでも生暖かさの代わりに留まっているのだ。どうしてだ、早く染みのようになってしまいたいが、これはいつ頃からの染みだ。なかなかの汚れを表しているように思えなくもない、呼ぶ声もない。低調なリズムでひっくり返りまたひっくり返りすると、肌を触るだけ触るような冷たい風が遠慮がちに現れた。気にすることはないよということは掛け声なのだろうか、よいよいよいよいよう、ちょっと待ってどっと溢れるぞ。背けた目が捩じ切れていく深さはそれほどでないが、感動した! 俺の後ろで感動しているぞ! のっしのっしやたらめったらのっしのっしとそれは不愉快な甘みであって何でないのか。他に何があると問われないでもない空間で行ったり来たりするものには違いなかったが、これでどうだ! いや・・・。