<378>「一点で動いていく」

 進めないということで苦しむことはなく、どうあっても進むということに苦しさはある。調子が悪くても大丈夫だし、状況が不利でも、派手に追い込まれていても大丈夫だ。逃げ場がないというのは結局、私がどこまで行っても私であるということで、何ら取り上げられているものがないということなのだ。ここにいなければいけないし、ここにいればどこまででも動いていく。何も止まらない。

 であるからこそ、障害は自分の手で設定される。他所の障害をわざわざ招び込む。周りから見るとそれがよく分かるから、そんな、自分で持ち込んだものなんか自分で追い出してしまえばいいじゃないか、と当然思うのだ。だが、進めないというところに苦しさはないのだ。苦しさであるかのように言ってみせることは出来るが。止めるものが何もないのだと気づいたなら、ただ外していればいいのだ。責任を負うというのはそういうことだ。何もかもが動いていく。