<422>「削り屑」

 削り屑は考える。あまりにも、熱を持っていて、それを隠したいのかもしれない。削って、削っていれば、それは冷めるのだろうか。いや、落ち着かせようとして、そうするんじゃあない。おそらく温度とのズレを、ついていかない場所を、丁寧に、あるときは乱暴に削っているのだなと。とすれば、ただの熱を、その塊を求めて、いつになるか、また、訪れてほしいようなそうでもないのだという気持ちを抱えて、削ぎ落とし続けるものは皆・・・。

 恥ずかしいのか、そうか何故恥ずかしいのか。前面に露出するのも何となく違う内に持っていて、見つかったら恥ずかしいのか。削り屑は照れ味。こんなにも熱いということが、ただその量で表現されて、しかしここではにかまないと、結果的にはにかんでしまうとしても、はにかまないと決めてみる。今にも倒れてしまいそうだと、次々の往来の、文句ない静けさ、ゴウゴウと鳴る音、それは確かに不可解である。ただ、斥けるだけの理由もない。