<502>「存在の夢に変化する」

 どうしてこうして来たって負けないぞ、と踏ん張る足元に、しかし殺到する諸々は負かそうと意気込むものではなかった。ぷつぷつと湧くもの、ひそひそ話すもの、知らぬ間に寛ぐもの笑うもの、遠くを見つつ移動するもの、などなどであり、これは反応の仕方を少し変えてみねばならない。取り止めにしなければならないほどの妨害はなく、ただ、遠慮がちに手を挙げつづけているもので、何かの話をしない訳にはいかず、むろん、そこで二言三言交わすことに不具合があるはずもないのだったが、やたらめったら意識、意識、帰ることを許されず、徐々に徐々に疲れていくのでは困る。問題は、負かしに来ているのではないということだ。そういうものはもう大分関係がない。これも存在の一状態だ。他に移れば、嘘としか思えない、夢としか思えないものに変化する、それは存在の一状態だから・・・。