<512>「道に呼吸が隠れた、」

 鈍い痛みにちょうどよくはまりこんで、ひとり眠るもの、それからの季節を問うもの、同様に大きく、伸びて、帰る場所を知らない。ああ、行進は許可され、ひとりでに流れていくものたちに笑いかける元気、蹴り上げる風が、余計に回って、よろけ、落とし、挨拶の温度を知らない。情け深い意識が大きくなったり小さくなったりしただ用意をしていないつもりで眺めているのだ。だから言っている、前を見て、それだけでなくとも良いと。ややあって、ここがどこまでもどこまでも変化であることを知る。その表情は予想されないこともある。間に合わせの驚きが、ただの疲れだけになるのを冷静な気持ちで見ている。ひたひたと歩く帰り、空間が明る過ぎたときの夢を思う。ただ、見ていない。それは、呼吸が徐々に音を隠していくことを心地良さだと考えているからなのだが、どうだろう。この道は幾度も通過され、何の思いも表さない。それでなければ、とても私などが歩ける場所にはならないはずだということが分かる。