<519>「点と線の響き」

 よく見ろ。あれは、線で見ているものの景色だ。そこへ、断続的な響きを渡せば、そここで不穏な揺れが起きる。当然だ。伝わった訳ではないはずだが、誰もが不安そうな表情に変わって通る。一体、何を表しているのだろうか。訊ねたことは?

 まだまだ、と言ったり、もうこれまで、と言ったり、それがひとつの感覚であるとするならば、明らかに欠落していたと考えられる。幼いからまだまだこれからなのだとか、年を大分経ているからもうこれまでなのだとかいう話が、一度もしっくりと腹に入ってこない。

「ああ、これは線の話なのだな・・・」

と理解する。現れては消える点であれば、これといった表情はない。

 その通り、線ではないのだろうか。それとも、線であることに気がついていないだけなのか。泣いているそばから、一瞬で笑顔に変われるのは、点滅であるからなのだとボンヤリ考えてみたりもするのだろう。音楽も、運動も、何だってそうではないか。

 繋ぐ能力があることは否定されない。しかし、それが線が存在することにまで結びついてくるかというと・・・。いやあ、これで点に徹しているのがおかしいのではないか・・・。