<578>「身体は身体の上に」

 重ねているのか、何が? 和やかな笑いが何の出来事にも関係なくこぼれ出して慎重に慎重を重ねた先へポトリと落ちる。ポトリ、ポトリ。何でもかでも舐めてゆけ。舐めるとき舐めざるもの、ここにはあらず。あらあら私が案内しましょうか? いやな言葉だと思った。そんなことを聞きたいのじゃないとは思ったが、汗をかいている。汗をしこたまかいている。これだけ歩いたのだから、しかし場所は何重にも使われていて、真っすぐにただ伸びていくことだけを望んでいた訳ではないのだろう。どうした? 今度また夕方を通っていこうと言うのか。誰が言うた。大きな音を何度か必要としてみる。結局、通常立ち昇るだけの音量があればそれで足りた。