<594>「私は帰らない」

 日々の掛け声がどうということもなく上を見て下を見て、ひとりだに帰ること能わず。誰彼が、訊ねる間もなく意識が沸騰して、もじゃもじゃ、もじゃもじゃと、これは渡り合いおそろしいこれはただの渡り合いになる。何度も何度もねじり上げられてさぞや不愉快だとは思う。ここで思いっ切りスピードを上げてみたり下げてみたり、さて私はどこを見ているのでしょう。疑問は解消される必要もなく、ただハラハラとそこいらへ落ちた。また、拾うものがそこここに列を作り、列は笑った。快活な笑いもあれば、悲しい、痙攣した笑いもあった。何故か、慰める表現から順番に疲れてゆき、方向といえばそのほとんどが今や、優しいだけの選択肢。これからのこと、そーれイメージからイメージを抜いてもなお見えているぼんやりしたもの、不思議な無表情まで、ひたすらに包むまた包む。お前さんがたのなかにもきっとこのことに気づいてポツ、ポツと現れることを選んだ人もいるようだね。よく響くなんてまっぴらごめんだと。