<604>「処理法」

 「怒ってるだろ、関係なくても怒ってるだろ。あれは何故関係のないものにイライラするのかという、自分の気持ちを処理しにゃならんだろ。あれは自分の処理だろうに。」

「いやね。自分ひとりでってことにしないで、自分のイライラは周りとも関係があるって、そうすることによって共同体に関心があるということになるのよ」

「そうかな。しかし、失礼だな。自分の処理を他人におっ被せんのは」

「そうよ。だからあなたは短期的に、そう短期的に、礼儀正しい人になるの。ただ、それも続くと、あの人は何にも関心がないんじゃないかしらって、文句を言って関心も持った人の方が長期的に見れば有難いんじゃないかって、そうなるの」

「へえ。まあ、関心が薄いのは間違いではないけどね。困ったね」

「あなた、本当に困ってる?」

「いやどうかな。だからって失礼と知りながら意図的に失礼な態度を取ることは出来ないな」

「そうよ。あなたには出来ないわ。だから、自分だけの処理だと思っていない人は、他人におっ被せてもなんとも思わない、というか、それがおっ被せることだなんてちっとも気がついていやしないのよ。だから、失礼なんじゃないかなあなんて悩みもないの」

「そうかね。困ったな」

「あなた、本当に困ってるの?」

「いやどうだろう、困ってないのかも分からんね」