<619>「これが果たして同じ歩みだろうか」

 じいっと見て、飽くまで待つ。それほどじゃなくなってもそれはそうだろうと。訪れないことや、訪れることをも知らず、沈黙の只中へぐいぐいと身を下ろしていき、これが果たして同じ歩みだろうかと言われるまでに。

「これが果たして同じ歩みだろうか」

私の声が、大袈裟に聞こえて、どこもかしこもまた、カラカラと軽い笑いになって進んでいくと、あっちでチョッカイこっちでチョッカイがないとなると、しかしそれが普通なのですよ。なるほど・・・。

 粘り強さ、みたいなもの。我慢、みたいなもの、を、あまり大袈裟に考えることをせず、ただこの動きは可能で、この考えがおかしくないこと、そしてそれを普通に移していくことだけを見てみたらいい。

「そうするとどこいら辺を、見て歩くのがよいと思いますか?」

出来るだけ、ぼんやりとしていく。ぼんやりとさせておいて、また訪れたと笑われるだけになればいい。