<629>「めでたし、渡し、折り返し」

 聞くなりなんなりとして知るや、溺れたき、非常な速さの後ろ姿。ふうっー、さらさら。ふうっー、さらさら。

 忘れがたき、ひとすじに落ちて繰り返して、越えがたき、警戒色の群れとなって、吠えちぎれ。この頃遠くとも、お前折り返し、再びなしがたし。

 堅苦しい。嘘でなし、この、人でなし、海でなし、山でなし、朗らかな光線はどこに差し。俺かと思われたお前このお礼は、俺かと思われたぞ。そんな訳なし、跨ぐ私、また渡し、回られたし。

 怖ろしいまま目さまし、後回し。起床やら、無精やら、主張などなどがある話。語りたし、疑いにも今度静かな視線を込めて。

 どうあれかし、いちどきに緊張と、淀み、めでたし、めでたし。