<671>「同じ歌を歌う」

 「お前当たりばっかり引こうとするなよ」

と、あたらしく小さなものひとつ、ポンッとそこらに投げられて、拾うもの、拾うもの、次から次へと当たりであることと、当たりばっかりを拾おうとすることとは違うのだ。から、頭のなかでパターンを確認すること、そここに型を見つけることを止さなければならない。結局とか、つまりは、とかいう言葉で、細部を強引に無視してはならない。

 不思議なことに、表面的な変化を激しくすると、逆にその同じさ具合が極まってしまう(どれだけ動いてもこれは結局同じ型じゃないか・・・)。出来るだけ同じ場所で、出来るだけ同じ回転をしていると、これはどうだろう違いばかりが気にかかる(どうやっても違ってしまうではないか・・・)。

 あたらしくないばかりで、当然成功にも数えないで、ひとあし、ひとあし異様な匂いを放つ。何かが重なりを訴えてぱら、ぱらしたまま偶然にものを言わせて別段表情は明るくないが、歌うことだけは知っている。なぞり、交わし、耐えがたい語らいの考えでもって・・・。