<750>「湧き難さと別れの挨拶」

 ひとりの短い雨が水底からこちらをじいと眺めている。無闇やたらに照らした手当たり次第のひとつがお前だ。お前が、いまひとつ乾いている必要があるそうだぞ、と、誰にともなく語ってきかせていた。

 当たり前と、肌と、触れ方と。呼吸の私、呼吸のあちら。なくなり方に似た。暇があればふざけている。こちとら暇になるほどに歩みが丁寧で聴こえやすくなっているのだ。頭を丸くして響かせてくれる。

 分けていく、話もあれもこれもなく。湧きがたさとさようなら。溶けていく、そのなかに、いざ交わした腕と、その残りかすを、ともに見留める。これが頭の外側で鳴っていることならそれでもいいというつもりで・・・。