<772>「交潤点」

 ただ、余計な事を言って、笑ってそのまま流してしまう、それを時間としてひとつくれと思った。頭では幾回も興奮している。そうして割り込んで、普通の道筋に侵入して、

  ううん、なんでもない

と、ただ一言笑うだけの時間をここで拡げてくれろよ、と順番に呟いたのだ。

 私に大きな嘘があっても、そのことではつぶらない。具体的に、話せば、話すだけ、おかしいものだね。いくらか吸うタイミングが違って、ここの一瞬だけ緊張していても仕方がないよ、と語りかけながら、どうでも通らなければ安心した声を出せないような気でいたのだ。

 いつよりか遅すぎたものは、例えばひっそりとしみだしていこう。いつよりか早すぎたものは、あくまでゆっくり喋ってみよう。単に重なるだけで、真っすぐに考えたのでは分からないことが明らかになるのかもしれない。