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 話した分と、沈黙していた分、それぞれが同じように、身体のなかで感慨を作っている。数え切れない向きとともに黙り、生暖かい空洞のなかで言葉は色々の回転を持つ。あいにくひとつの入口しか持たず、殺到しても誰もそれを文字だと捉えないこともしばしば。

 昨日と今日で話されること、色違いの同じもの。今日と明日で話されること、違うものだが同じ色。わざわざあけた蓋から勢いだけで踊り上がり、リズムだけは複雑でたがえない。

「惑わされぬ、とは言い条、何を惑わされているのかが分からぬと・・・」

疑問はただただ愉快なだけだ。抗いは割れて崩れる。

 壇上でひとりの人間が、どこまで話したのか分からずにやたら盛り上がっている。ただ増えるためにある言葉。一番の沈黙が削れて奥の奥の真っ暗なところへ明らかに生まれたばかりの眼玉が挟まっている。どうやって聞いたらいいか、その方法だけを考えていた。